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【母という病】母親との関係性が自己否定の原因になる

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生まれたときは誰もが赤ちゃんであり、母親に育てられます。しかし、母親から十分な愛情を受けずに育った場合、その子供はどんな大人に成長するのでしょうか?


なんと、自己否定感や精神的な病は、幼少期に母親との愛着を形成できなかった人生じやすいことが知られています。


生きづらさの根底には、母親が深くかかわっている可能性がある…とのことで、読んでみました。

(017)母という病 (ポプラ新書)

(017)母という病 (ポプラ新書)

 

 

 

 

母という病 とはどんな本?

昨今、母親との関係に苦しんでいる人が増えている。母親との関係は、単に母親一人との関係に終わらない。他のすべての対人関係や恋愛、子育て、うつや依存症などの精神的な問題の要因ともなる。「母という病」を知って、それに向き合い、克服することが、不幸の根を断ち切り、実り多い人生を手に入れる近道である。現役精神科医による、あまりにも感動的かつ衝撃的な提言!

amazon 内容紹介より

 

著者は、長年京都医療少年院で心の問題に向き合ってきた岡田尊司さんです。患者と接する中で、うつや依存症などの精神的な問題は、根底に「母親との関係」が存在するケースが多いことに気づいたそうです。


親子関係が正常化することで問題が改善されるのを発見した筆者は、完璧主義 ・ 依存症 ・ うつの発症 に母親が関係することを本書で解説しています。


本書では、筆者の患者の事例や、『母という病』に苦しんだ有名人-岡本太郎、ヘッセ、ジョンレノンなどの有名人たちもの事例を取り上げ、いかにそれを乗り越えたのかが解説されています。

 

 

母という病はなぜ起こるのか

 親に愛されずに、満たされない子ども時代を過ごした人ほど、親に愛されたい、認められたいと思い、親へのこだわりをもち続けてしまう。

親に愛されすぎるほど愛されても、肝心なものが欠けていると、大人になり切れず、母親との関係を卒業することができない。-p24より

 

「母という病」とは、幼少期に母親に愛される経験がなかった子供たちが、成長後に様々な心の問題を発症することを指します。母親に認められたい気持ちが、以下のような行動に現れることがあります。

 

  • 「良い子」を演じる
  • 親に認められない自分をダメだと感じ、自己否定をかかえる
  • 人に甘えられない
  • 自分一人で頑張りすぎる完璧主義
  • うつ、境界性パーソナリティ障害摂食障害 など…

 

母親が子供に過剰なまでの愛をそそぎ、なんでも与えていたケースであっても『母という病』は存在します。

本人は自分一人では何もできないと思い込み、自己否定や無力感を抱えるケースが多く、また子供から自立能力を奪ってしまいます。

 

 

なぜ母親との関係性が悪影響を及ぼすのか

母親から全面的な関心と愛情を受けて育った子供は、世界や自分を無条件に信じることが出来る感覚(基本的安心感)を身に付けることが出来ます。

 

幼いころに、よく可愛がられ、世話をされた子どもでは、不安をコントロールする働きを持った神経伝達物質受容体が増える。その結果、母親との愛着が安定したものとしてしっかりと結ばれるとともに、不安やストレスを感じにくい体質を授けられることになる。

 

私たち人間には、“愛着システム”とも呼ばれる子育てのシステムが備わっています。女性が子供を産んだとき、出産時に「オキシトシン」とよばれるホルモンが分泌されます。

オキシトシンは、陣痛を引き起こし、授乳の時に活発に分泌されます。不安をしずめ、多幸感をもたらすホルモンです。


また、子供も母親とのスキンシップによって脳神経の伝達物質が増えることが報告されています。母親から可愛がられ、よく世話をされた子供はストレスコントロールを身に着けることができます。

なによりも、母親に守られているという安心感が「この世界に生きていてもよい」という根本的な安心感(基本的安心感)をはぐくみ、社会活動の為の礎となります。


逆に基本的安心感を身に付けることができなかった子どもは、いつも居心地の悪さや不安感を感じやすいと論じられています。

 

 

母という病を克服するために、まずは自覚から

性格が、母親との幼少期の関わりに影響を受けることは良く知られています。しかし、本人にとっては自分の悩みに母親が関わっている事に気づかないケースが多いです。


それでは、この生きづらさはどのように克服すればよいのでしょうか?
母という病を克服するために何をするべきかというと、まずは子ども自身が、母親との関係性が自分に悪影響を与えていることを自覚することが必要です。


本書を読むと、様々な患者のケースから、これは自分にも当てはまるのではないかと思える部分が出てきます。自分の経験に照らし合わせることで、母親と向き合う必要性を感じられるかもしれません。


自覚ができたら、今まで心にためこんだ不満を母親にぶつけることです。母親は子供の主張を頭ごなしに否定せず、受け止めることが必要です。その作業を行うことが、子どもと母親の両方がネガティブな感情から脱却する第一歩になります。

 

カウンセリングの力を借りず、自力でこの状態にたどり着くのは非常に難しいです。しかしながら、生きづらさの改善のために自分の気持ちを開示することが必要なのはその通りだと思います。


これまで心にわだかまりを抱えてきた人が本書を読んで、新たな解決の糸口をつかむことができればよいと感じました。

 

 

 

自分の体験談と照らし合わせて

私の体験になりますが、私は幼少のころから完璧主義で自信がなく、「完璧でなければ母親に怒られる」という不安感を抱えていました。しかし、どうしても母を許せなくなる出来事があり、初めて自分の思いをぶつけた経験があります。

 

母親に対してひどいことを言う自分はダメな子どもだ、と自己嫌悪に陥ったこともありました。しかし振り返ってみると、その経験がもとになって、「親離れして強くならなければならない」という感情を持つに至ったように思います。それから、不安感におびえることが減りました。

 

この本でも書かれていますが、子どもの反抗期は親からの自立の第一歩です。しかし、幼少期に安心感を育むことができなかった場合、「良い子」を演じるあまり親に反抗することがなかった という方もいらっしゃると思います(私がそうでした)。

勇気を出して、相手に自分の感情を認めてもらうというステップは、そんな方が自分を好きになる第一歩になるはずです。

 

 

感想

読んでいて辛い一冊でした。しかし、自分が母親に対して行った反抗が、間違ったものではないと実感でき、勇気を貰うことができました。

 

これまでは、ネグレクトや虐待といったケースのみが子供の精神成長に悪影響を及ぼすと考えていました。しかし、この本では仕事が忙しくて子どもと離れてしまったという程度であっても、子どもの愛着障害の原因となりうることが語られています。

 

この本が書かれたのは2012年ですが、人生100年時代の到来と女性の社会進出により、今後両親が共働きとなるケースは増加すると考えられます。

そうなった際に、子供が正しい愛着を形成することがますます難しくなります。今後自分が母親になった際に、どんな子育てをするべきかを考えさせられる一冊でした。

 

(017)母という病 (ポプラ新書)

(017)母という病 (ポプラ新書)