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【仮面病棟】ノンストップ医療ミステリ!ドキドキするけど物足りない。初心者にオススメ!

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前からずっと読んでみたかったこちらの一冊。「仮面病棟」

 

現役医師であり作家でもある著者の、病院を舞台にしたミステリです。

医師が著者であるミステリというと、「チームバチスタの栄光」でおなじみの海堂尊 氏が有名です。「仮面病棟」は、同じく医療現場を舞台にした内容でありながら、ミステリ初心者にも読みやすい一冊となっています。

 

※※ちょっとだけネタバレを含むので注意!※※

 

仮面病棟 (実業之日本社文庫)
 

 

1.仮面病棟ってどんな本? 

 

強盗犯により密室と化す病院。息詰まる心理戦の幕が開く! 療養型病院にピエロの仮面をかぶった強盗犯が籠城し、自らが撃った女の治療を要求した。先輩医師の代わりに当直バイトを務める外科医・速水秀悟は、事件に巻き込まれる。秀悟は女を治療し、脱出を試みるうち、病院に隠された秘密を知る――。そして「彼女だけは救いたい……」と心に誓う。閉ざされた病院でくり広げられる究極の心理戦。迎える衝撃の結末とは。人気急上昇の新鋭ミステリー作家で現役医師が描く<本格ミステリー×医療サスペンス>。

amazon 内容紹介より

 

主人公の 速水秀悟 は、田所病院の当直バイトです。田所病院はもともと精神病院でした。現在は脳卒中や老衰などによって寝たきりになった人の医療を行う「療養型病院」として、身寄りのない患者を積極的に引き受けています。

 

先輩医師の代わりに当直をする速水。しかし当直中に、ピエロのマスクをかぶった男が拳銃をもって病院に現れます。

ピエロはコンビニで金目当てのために強盗を働き、そこにいた女性を撃って人質にし、この病院に逃げ込んだと言いました。

 

ピエロは自らが撃った女性の治療を要求しました。「女性を助けなければ、この病院にいる全員を殺す。」と脅します。

病院の中にいるのは、速水、病院の院長、看護師2人、ピエロに撃たれた女性、そして65名の患者たち。

 

速水は女性を治療し、警察への通報を行おうとします。しかし、院長と看護師はかたくなに警察への通報を拒否しました。速水は不審に思いながら、女性とともに病院からの脱出を試みますが、その途中で病院の恐ろしい秘密を発見するー

 

というストーリーです。

 

 

2.この本のスゴイところは?

帯に書かれている通り、「一気読み注意!」な一冊です。

医療ミステリといえども、難解な医療用語などは出てこないため、1時間ほどでサクッと読むことができます。

 

病院に立てこもる目的が分からないピエロと、不審な院長の行動。2つの謎に翻弄されながら脱出を目指すストーリーは明快で、非常にスリリングでした。

 

物語の情景が浮かんできて、読後はまるで一本の映画を見たような気持ちになれます。ドキドキしながらページをめくりました。

 

 

3.ドキドキするけど物足りない…もうひとひねり欲しかった。

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さて、小説としては十分面白い本作ですが、本格ミステリとして読むと少し満足度に欠けます。

 

病院が隠している秘密、ピエロの目的、道中で起こる殺人事件の犯人。と立て続けに読者に謎を提示していますが、その真相は容易に想像ができるものとなっています。

 

おそらく、ミステリファンであれば序盤で【病院の目的】【ピエロの正体】【殺人犯】について目星をつけることができると思います。はじめは読者をだますブラフではないか?と思い、ワクワクしながら読み進めました

 

帯には「怒涛のどんでん返し!」というアオリ文が入っています。「どんでん返し」は確かにあるものの、想像の範疇にとどまったため少しがっかりしました。

 

クローズドサークル(ミステリ用語。何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件を扱った作品)でスリルのある状況を作り出すことはできたものの、登場人物が少なく、読者が大方の予想を付けることができたのが原因ではないかと感じます。

物足りない、そして惜しい。

 

※読後にamazonレビューを見ると、同じような理由で低評価を付けている方を多く見ました。秀逸なカバーと帯で書店に並んでいたため、本格ミステリとしての期待値が高まってしまったのではないでしょうか…。そういった意味で、少し残念に思います。

 

 

 

4.ミステリ初心者や本を読むのが苦手な人にオススメ

とはいえども、手に汗握る描写と立て続けに新たな謎を提示する内容で、読者を飽きさせない工夫が詰まっています。

 

息をつかせぬ展開に、まさに一気読み注意!な一冊です。

本を読むのが苦手な人、ミステリをあまり読んだことがない人、サスペンスとして楽しみたい人にオススメです。

 

ちなみに、次回作である「時限病棟」も読みました。スリリングな展開はそのままですが、ミステリとしてはこちらのほうが秀逸だと感じます。

 

仮面病棟 (実業之日本社文庫)
 

 

 

5.似た本や読んでみたい本は?

 ↓次回作の時限病棟。仮面病棟を読んでから読むと面白さ倍増。

時限病棟 (実業之日本社文庫)

時限病棟 (実業之日本社文庫)

 

 

↓著者のもう一つの代表作である天久鷹央シリーズ。仮面病棟が病院の「裏」の物語なら、こちらは「表」。表紙がかわいい。

天久鷹央の推理カルテ (新潮文庫nex)

天久鷹央の推理カルテ (新潮文庫nex)